日常生活

パーキンソン病の症状が悪化したと感じたら|孤独・ストレス・生活習慣との関係

一人で抱えず、今の身体と暮らしを支えるために

パーキンソン病の症状が悪化したと感じたら|孤独・ストレス・生活習慣との関係

症状が強くなったことだけで、パーキンソン病そのものが進んだとは判断できません。孤独・ストレス・喫煙と生活習慣について、研究の結果と限界を確かめながら、今日から暮らしを支えるヒントを考えます。

こんにちは。PDit(ピディット)の小川順也です。

「最近、いつもより動きにくい」「普段の生活で、何に気をつけたらいいの?」

今回は、孤独・ストレス・喫煙、そして運動・睡眠・食事について、研究で分かっていることと、PDitで大切にしている支援の考え方を整理します。

この記事でお伝えしたい3つのこと

調子が悪い日があっても、自分を責めないでください。暮らしを支える手がかりとして読んでいただけたらと思います。

症状の変化と、病気そのものの進行を分けて考える

緊張する場面で震えが強くなることがあります。震えのあるパーキンソン病の方69名を対象とした研究では、暗算などの認知的な負荷がかかる課題中に震えが増えました。認知的ストレスと震えの研究(Zachら、2017年)

このような短時間の症状の変化と、神経細胞の障害が長期的に進むことは、区別して考える必要があります。この研究も、ストレスによって病気そのものが進んだと示したものではありません。

また、「ある生活習慣がある人ほど症状が重かった」という結果には、症状が重いためにその生活になりやすい、という逆方向の関係が含まれている可能性もあります。

症状の変化が気になるときは、いつ・どんな場面で困ったかを主治医に伝えてみましょう。生活の見直しと、必要な治療の相談を一緒に進めることが大切です。

孤独・社会的孤立:困ったときに話せる相手を

2020年の研究では、パーキンソン病の方1,527名のデータを分析し、孤独を感じる方ほど、本人が報告する症状が重く、生活の質も低いという関連が見られました。孤独と症状・生活の質の研究(Subramanianら、2020年)

ただし、一時点の情報を分析した結果です。「孤独が症状を重くした」のか、「症状が重いために交流が難しくなった」のかは、この研究からは判断できません。

私は、この結果を「もっと友達を増やさなければ」と受け取ってほしくありません。一人で過ごすことが好きな方も、人に囲まれていても孤独を感じる方もいます。

PDitで大切にしたいのは、「困ったら、この人に話してみよう」と思える相手や場所があることです。

家族、友人、地域の支援者、医療職、同じ病気の仲間。近況を話せる場所や、調子が悪いときに相談できる相手を、無理のない形で持てたらと思っています。

ストレス:休む・頼る・相談することも選択肢

ストレスに伴う震えの変化は、実際に震えを測った研究でも確認されています。つらさを「気のせい」と片づける必要はありません。Zachらの研究

一方で、その研究から「ストレスを減らせば神経変性を遅らせられる」と結論づけることもできません。

仕事や介護、人間関係、将来への不安。負担をすべて一人で抱えるのは大変です。

「ストレスを感じないようにしなきゃ」と、自分を追い込む必要はありません。休むことも人に頼ることも、生活を守るための選択肢にしてほしいと思っています。

喫煙:全身の健康を守る視点で考える

喫煙とパーキンソン病の発症リスク、診断後の経過、全身への健康被害は、それぞれ分けて考える必要があります。一部の研究結果を理由に、喫煙を予防や治療として勧めることはできません。

禁煙には、心臓や血管の病気、がん、呼吸器の病気などのリスクを減らす健康上の利益があります。CDC:禁煙による健康上の利益

全身の健康を守るために、喫煙は避けることが大切です。禁煙を一人で続けるのが難しいときは、医療機関に相談する方法もあります。

運動・睡眠・食事を、暮らし全体で考える

運動は、自分に合う続け方を

PDitでは、その人の身体の状態や生活に合った運動を、続けられる形で取り入れることを大切にしています。方法に迷うときは、身近な専門職と一緒に考えてみてください。

続け方の工夫は、「運動は『気合い』では続かない。」でも紹介しています。

眠れない日が続くときは、主治医に相談を

パーキンソン病の睡眠の問題には、夜間の動きにくさや薬の影響、睡眠に関わる病気など、さまざまな要因が関係します。眠れないことを自分の努力不足と考えず、困っていることを主治医に伝えましょう。Parkinson’s Foundation:睡眠の問題

食事は、必要な栄養を取れているかに目を向ける

食事を極端に制限することばかりに気を取られず、必要なエネルギーや栄養を取れているかも確認したいところです。食欲低下、体重減少、飲み込みにくさがある場合は、医師や管理栄養士などに相談しましょう。Parkinson’s Foundation:食事と栄養

今日できることを、一つだけ

全部を一度に変える必要はありません。

私たちは、運動を届けるとともに、困ったときに相談でき、人とのつながりを持てる場所をつくりたいと考えています。

生活を整えることは、主治医による治療と一緒に暮らしを支える取り組みです。薬の量や飲み方は自己判断で変えず、主治医に相談してください。

「今日、自分の身体と生活のために、何ができるだろう?」

私たちも、皆さんの「相談できる相手」の一人でありたいと思っています。

良くなることを、あきらめない。

誰かとつながりながら、できることを一つずつ積み重ねていきましょう。

日常生活や運動の相談先を探している方は、PDit公式LINEからお問い合わせいただけます。

参考文献・資料

  1. Subramanian I, Farahnik J, Mischley LK. Synergy of pandemics—social isolation is associated with worsened Parkinson severity and quality of life. npj Parkinson’s Disease. 2020;6:28. doi:10.1038/s41531-020-00128-9
  2. Zach H, et al. Cognitive Stress Reduces the Effect of Levodopa on Parkinson’s Resting Tremor. CNS Neuroscience & Therapeutics. 2017;23(3):209–215. doi:10.1111/cns.12670
  3. CDC. Benefits of Quitting Smoking
  4. Parkinson’s Foundation. Sleep Disorders & Problems
  5. Parkinson’s Foundation. Diet & Nutrition
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小川 順也
この記事の執筆者
小川 順也
株式会社Smile Space 代表取締役 / 理学療法士 / LSVT BIG 認定資格者
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