このたびPDitは、パーキンソン病の方とそのご家族のための情報メディア「PDit.com」を立ち上げました。私たちが目指すのは、記事数やアクセス数ではなく、「パーキンソン病と診断されたその日から、安心と希望を持って次の一歩を踏み出せる社会をつくること」です。なぜこのメディアを始めたのか、その想いをお伝えします。
こんにちは。PDit(ピディット)の小川順也です。
このたびPDitは、パーキンソン病の方とそのご家族のための情報メディア「PDit.com(pditcompass.com)」を立ち上げました。
ただ、私たちが作りたいのは、単なる「パーキンソン病の情報サイト」ではありません。このメディアを通して実現したいことがあります。それは、
パーキンソン病と診断されたその日から、安心と希望を持って次の一歩を踏み出せる社会をつくること。
今日は、なぜこの情報メディアを立ち上げたのか、私たちが目指していることについてお伝えします。
パーキンソン病と診断された日、「何をしたらいいのか分からない」
これまで多くのパーキンソン病の方と関わってきました。診断された頃のお話を聞くと、こんな言葉をよく耳にします。
- 「頭が真っ白になりました」
- 「これからどうなるんだろうと思いました」
- 「何をしたらいいのか、全く分かりませんでした」
- 「インターネットで調べれば調べるほど怖くなりました」
病院でパーキンソン病と診断される。先生から病気や薬について説明を受ける。でも、診察室を出た瞬間から、「じゃあ、明日から私はどう生活したらいいんだろう?」という新しい疑問が始まります。
運動はした方がいいの?どんな運動を?食事は?仕事は続けられる?リハビリはいつから?介護保険は?——知りたいことは、次から次へと出てきます。
調べれば調べるほど不安になる、という問題
今はスマートフォンで検索すれば、たくさんの情報を得られる時代です。しかし、インターネット上には根拠が十分でない情報や、必要以上に不安をあおる表現も混在しています。診断されたばかりの方が、それらを自分で見分けることは簡単ではありません。
「これを食べてはいけないらしい」「この運動はやらない方がいいらしい」「この治療をしないと進行するらしい」——情報を見るうちに、何を信じればいいか分からなくなる。病気について知ろうとして検索したのに、調べる前より不安になってしまう。
私たちは、この状況を変えたいと思っています。
PDitは「運動」だけを届けてきたわけではありません
PDitはこれまで、パーキンソン病の方へのパーソナルトレーニング・グループトレーニング・オンライン運動支援を行ってきました。しかし、実際に目の前の方と向き合っていると、運動だけをお伝えして終わることはほとんどありません。
「最近薬が効きにくい気がするんです」「先生に何を伝えたらいいですか?」「仕事を続けたいんです」「家族にはどう説明したらいいでしょうか?」——本当にいろいろな相談があります。
もちろん、私たちが医師の代わりに診断したり、薬を決めたりすることはできません。だからこそ、
- 必要なことは医師へ相談してもらう
- 運動については私たちが支える
- 地域の支援が必要なら、その場所につなぐ
- 今、その人に必要な情報をできるだけ分かりやすく伝える
そんなことを大切にしてきました。
15年以上の関わりで蓄積されてきた知識と経験を、もっと多くの方へ
PDitはこれまで、パーキンソン病の方だけでなく、医師・理学療法士・作業療法士・看護師・ケアマネジャー・研究者など、多くの方々と関わってきました。そして何より、パーキンソン病とともに生活している当事者の皆さんから、たくさんのことを教えていただきました。
医学書や論文だけでは分からないこと、診察室だけでは見えないこと、運動を一緒に続けるからこそ見えてくること——PDitには、そうした知識や経験が少しずつ蓄積されてきました。
だったら、この知識や経験を、目の前にいる方だけに届けるのではなく、もっと多くの方へ届けたい。 それが、今回情報メディアを立ち上げた大きな理由です。
「ここを見れば大丈夫」と思える場所をつくりたい
私たちが目指しているのは、記事の数が一番多いサイトでも、アクセス数だけを追いかけるメディアでもありません。
パーキンソン病と診断された方が、「まずここを見てみよう」と思える場所です。
病気・薬・運動・リハビリ・生活・最新研究・イベント——そんな時にこのメディアを開けば、次に進むためのヒントが見つかる。そして、読み終わった時に「怖い……」ではなく、「これなら自分にもできることがありそうだ」と思ってもらえる。
「パーキンソン病と診断されたら最初に訪れる情報メディア」——そんな場所にしていきたいと思っています。
情報の先に「行動できる場所」があることも大切
PDitだからこそできることがあります。私たちは情報だけを発信している組織ではありません。
- 運動したいと思ったら、運動できる場所がある
- 専門家に相談したければ、相談できる
- オンラインでも運動できる
- 地域ではPD Cafeのような取り組みも始まっている
- イベントでは、人とつながることもできる
知る → 動く → 相談する → つながる。情報をきっかけに、その人の生活が少しでも良い方向へ動き出すこと。そこまでつなげて初めて、情報には価値が生まれると思っています。
私たちが目指しているのは「インフラ」です
PDitには大きな目標があります。それは、パーキンソン病の運動支援を、社会のインフラにすることです。
電気や水道のように、必要な時に、当たり前にそこにある。住んでいる場所や経済状況に関わらず、パーキンソン病と診断されたら必要な運動支援につながることができる——そんな社会をつくりたいと思っています。
そして、そのインフラに必要なのは「運動する場所」だけではありません。正しい情報へアクセスできることも、インフラの一つです。
情報と支援がバラバラに存在するのではなく、一つの道としてつながっている仕組みをつくっていきたいと思っています。
「診断日から安心して運動を始められる社会」へ
私たちのVisionは、「診断日から安心して運動を始められる社会」です。
将来的には、パーキンソン病と診断されたら、「まずここを見よう」という情報があり、「まずここにつながろう」という場所があり、そこから医療・運動・地域・仲間へ自然につながっていく。そんな社会を本気でつくりたいと思っています。
今回立ち上げた情報メディアは、そのための大切な一つのピースです。
まだ始まったばかり、ここからがスタートです
このメディアはまだ完成していません。むしろ、ここからがスタートです。
PDitのスタッフみんなで、臨床で得た経験・研究から分かったこと・医療従事者から学んだこと・そして何より当事者やご家族から教えていただいたことを、一つひとつ丁寧に形にしていきます。
「こんなことが知りたい」「こんなことで困っている」という皆さんの声も聞きながら、このメディアを育てていきたいと思っています。
病気について正しく知ることは、「できることを見つける力」になる
パーキンソン病と診断されたからといって、その日から人生の可能性まで小さくなるわけではありません。
運動できることがあります。生活の中で工夫できることがあります。治療について相談できることがあります。人とつながることができます。まだまだできることはたくさんあります。
私たちのMissionは、「良くなることを、あきらめない。」です。情報を届けることも、運動を届けることも、地域でPD Cafeをつくることも、オンラインで全国とつながることも、研究を続けることも——すべてこの想いにつながっています。
正しい情報と、確かな支援が、必要な人に当たり前に届く社会へ。そして、パーキンソン病と診断されたその日から、安心と希望を持って一歩を踏み出せる社会へ。
まだ小さなメディアですが、ここから本気で育てていきます。ぜひ皆さんにも、一緒に育てていただけたら嬉しいです。
▶ 情報メディアはこちら:https://pditcompass.com/
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小川順也
